JP EN
お問い合わせ

TCFD提言に基づく気候関連の情報開示

BACK PAGE

TCFD提言に基づく気候関連の情報開示

ガバナンス

当社グループは、気候変動を企業価値に影響を及ぼす最重要課題の一つと位置づけ、その戦略及びリスク・機会に関する最終的な監督責任を取締役会が担う体制を構築しております。取締役会は、執行側から半期に一度の定期報告及び重要案件発生時の随時報告を受け、気候変動に関する方針や戦略を審議・決定しております。これにより、気候変動対応が当社の事業戦略及び財務計画に適切に統合されているかを監督し、実行の有効性を確保しております。

気候変動対応に関する最終責任者は、代表取締役社長執行役員です。

気候変動関連の課題に関する具体的な戦略の検討及び実行は、経営会議直下に位置する「環境経営推進委員会」が担っております。同委員会は2020年5月に設立され、四半期に一度の定期開催を基本とし、必要に応じて随時開催しております。
委員会では、気候変動における将来のリスク・機会の特定、環境事業に関するKPIの設定、グリーンエネルギー事業の推進に関する事項を主な審議対象としております。

委員会の委員長は、企画部長が務め、委員は社長執行役員、会長執行役員、リスク統括部長、人事総務部長、事業企画部長、各本部長及び委員長が指名した者をもって構成します。事務局は企画部及び事業企画部が担当し、全社横断的な環境経営の推進を統括しております。

環境経営推進委員会で検討・審議された重要事項は、まず委員会から経営会議に報告・上程されます。経営会議において審議された後、取締役会に報告・上程され、取締役会の決議をもって実行に移されます。このプロセスにより、気候変動に関する経営判断の透明性と実効性を確保するとともに、意思決定の責任範囲と報告経路を明確にしております。

戦略

分析のプロセス

TCFD提言で示された各リスク・機会の項目を参考に、気候変動問題が当社グループの事業に及ぼす影響について検討を行いました。1.5℃シナリオと4℃シナリオの二つを用い、政策や市場動向の変化(移行リスク・機会)および災害等による物理的変化(物理的リスク・機会)に関する分析を実施しております。これらの分析を通じて、リスク・機会の特定および定性的な評価を行い、それらに対応するための対応策の検討も進めております。

気候変動シナリオ

◆1.5℃シナリオ(脱炭素移行シナリオ)

気候変動の影響を抑制するため、カーボンニュートラル実現を目指した取り組みが世界的に活発化しており、これにより世界の平均気温を産業革命期以前と比較して1.5℃未満に抑えることを目標としたシナリオが「1.5℃シナリオ」です。このシナリオでは、温室効果ガスの排出削減を加速させるために、より厳格な規制や炭素税の導入、排出量取引制度の強化等が世界各国で求められることが想定されております。そのため、移行リスクの中でも特に政策・法規制リスクの影響が2℃シナリオと比較して大きくなる可能性があります。また、企業に対しては、脱炭素技術や再生可能エネルギーへの迅速な移行が強く求められると同時に、これらへの対応が企業競争力や市場評価に大きな影響を与えることが予測されております。

◆4℃シナリオ(高排出シナリオ)

気候変動対策が現状から進展せず、世界の平均気温が産業革命期以前と比較して今世紀末頃に約4℃上昇するとされるシナリオです。このシナリオでは、物理的リスクとして異常気象の激甚化が顕著となり、台風や豪雨、猛暑の頻度や強度の増加が予想されます。また、海面上昇に伴い、沿岸部での浸水リスクが高まり、人々の生活基盤やインフラに甚大な影響を及ぼす可能性があります。このように、4℃シナリオは、社会・経済・自然環境にわたる広範かつ深刻な影響をもたらすと想定されております。

◆1850~1900年を基準とした世界の平均気温の変化

出典:IPCC第6次評価報告書第1作業部会報告書政策決定者向け要約暫定訳(文部科学省及び気象庁)IPCC第6次評価報告書第1作業部会報告書政策決定者向け要約暫定訳(文部科学省及び気象庁)より、図SPM.8を転載

当社の気候関連の主なリスクと機会

当社は、TCFD提言に基づき、気候変動が当社事業に与える影響について、脱炭素化が急速に進展する1.5℃シナリオおよび物理的被害が深刻化する4℃シナリオを用いて分析を実施しました。

1.5℃シナリオにおいては、世界的な脱炭素化の加速により、事業活動における直接的な炭素税の賦課や、サプライヤーへの課税に伴う原材料・資材の調達コスト増加リスクが想定されます。特に、当社の主力事業であるインフラ施工において欠かせない重機や車両からのGHG排出削減は喫緊の課題であり、化石燃料価格の高騰も将来的な財務リスクとなる可能性を確認しております。これらに対し、当社は高効率な電動重機・車両への買い替えや施工プロセスの最適化による自社排出量の削減を進めるとともに、サプライチェーン全体での低炭素資材の活用を推進します。こうした変化は同時に大きな好機でもあり、カーボンニュートラル社会の実現に向けた次世代鉄道インフラの構築、および再生可能エネルギーの導入拡大に伴う送電・変電設備の増強、EV充電インフラの整備といった需要拡大は、当社の電気工事・電気通信工事における総合技術力を最大限に発揮する事業機会となります。高度な施工技術とメンテナンス能力を通じて、次世代のグリーンエネルギー網構築に積極的に貢献してまいります。

対して4℃シナリオでは、屋外の施工現場や事業拠点の被災、それに伴う工期の遅延や復旧コストの発生がリスクとして想定されます。また、集中豪雨や台風による供給網の寸断も懸念されますが、これらに対しては、デジタル技術を活用したプロジェクト管理の高度化や、資機材の分散調達の徹底により、施工体制のレジリエンスを強化しております。あわせて、社会全体の防災・減災意識の高まりを受け、既存インフラの耐震・耐水補強工事や、被災時の緊急復旧対応等の需要拡大も見込まれます。当社が長年維持してきた社会インフラを支える独自の存在としての高度な技術力と緊急対応体制を活かし、官公庁や鉄道事業者等に対するソリューション提案を強化することで、安定的な受注確保を目指します。

本分析結果を踏まえ、当社は温室効果ガス排出削減と適応策を具現化し、気候変動という地球規模の課題を「社会インフラの再構築」という中長期的な成長機会と捉え、レジリエンスの高い事業構造と収益基盤の強化を推進してまいります。

・ 時間軸…短期(~2027年)、中期(~2035年)、長期(~2050年)
・ 影響度…小:7,000万円未満/ 中:7,000万円~7億円未満/ 大:7億円以上
・ 採用シナリオ…移行リスク:1.5℃シナリオ/ 物理リスク:4℃シナリオ
・ 現時点で財務影響の合理的な推計が困難な項目については「-」としております。
 今後のシナリオ分析のアップデートに合わせ、順次算定対象を拡充していく予定です。

・ 時間軸…短期(~2027年)、中期(~2035年)、長期(~2050年)
・ 影響度…小:7,000万円未満/ 中:7,000万円~7億円未満/ 大:7億円以上
・ 採用シナリオ…主に1.5℃シナリオを使用(※印の項目は4℃シナリオにて分析)
・ 現時点で財務影響の合理的な推計が困難な項目については「-」としております。
 今後のシナリオ分析のアップデートに合わせ、順次算定対象を拡充していく予定です。

リスク管理

当社グループは、気候変動リスクを全社的リスクマネジメント体制に組み込むべく、環境経営推進委員会を一元的な管理組織としております。

同委員会は、気候関連リスクを「移行リスク」と「物理的リスク」に分類し、短期・中期・長期の視点で識別・分析します。特定されたリスクについては、「リスクの影響度」と「発生可能性」の二軸に基づき重要度を評価し、対応の優先順位を決定します。
環境経営推進委員会は、評価結果に基づき具体的な対応策を策定・実行し、その進捗を継続的にモニタリングします。気候変動に関する重要事項は、委員会から経営会議および取締役会へ定期的に報告され、全社的な意思決定のもと、各本部・グループ会社へ実行指示されます。

特に重大なリスクについては、全社的なリスク管理を統括するリスク統括委員会とも密接な連携を図っており、企業経営に影響を及ぼす全社的な経営リスクの全体像(リスク一覧)の中に気候関連リスクを明確に位置づけ、他の中長期リスクと相互に比較・検証を行うことで、組織全体のリスクマネジメントの最適化とレジリエンスの強化を適切に実現しております。

指標と目標

当社グループは、気候変動がもたらすリスクと機会を適切に評価・管理し、持続可能な社会の実現と中長期的な企業価値の向上を図るため、以下の通り温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1およびScope2)を主要な指標として設定し、2027年度までの2022年度比20%削減、2050年度までのカーボンニュートラル達成という目標を設定しております。

  1. 気候変動リスク及び機会の評価・管理に用いる指標当社グループは、事業活動に伴う環境負荷の低減状況をモニタリングするため、温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1およびScope2)を主要な指標として設定し、定期的な測定・管理を行っております。また、気候変動をはじめとする社会課題解決に向けた業務執行取締役の責任を明確化し、取り組みの実効性を高めるため、業績連動型報酬を決定する際の非財務指標として、Scope1・2の温室効果ガス排出削減目標を設定・反映させております。
  2. 温室効果ガス(GHG)排出量の実績と算定方法GHG排出量の算定にあたっては、当社グループ全体を対象境界とし、以下の算定方法に基づき管理しております。

    Scope1(直接排出): 社有車や現場重機の使用に伴う燃料の燃焼による直接排出量
    Scope2(間接排出): 自社施設で購入した電気および熱の使用に伴う間接排出量

●温室効果ガス排出量の実績と目標(Scope1~2)

(単位:t-CO2)

※算定範囲:
連結グループ全体
※算定方式:
以下の排出係数を用いて算出
・環境省電気事業者別排出係数
・環境省サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベースVer.3.5